航空無線通信士。試験日/過去問・合格率/難易度

国家資格

航空無線通信士は、電波法に基づく国家資格であり、航空分野の無線通信業務を担う業務独占資格・必置資格です。
通称では「航空通」と呼ばれ、無線従事者資格の一カテゴリに位置付けられています。

この資格を持つ者は、航空分野における無線設備の操作を行うことができ、航空運送事業の用に供する航空機を含むすべての航空機の無線設備の操作、航空交通管制に用いられる航空局や航空地球局の無線設備の操作、さらに航空機のための無線航行局の操作にも従事することが可能です。

そのため航空無線通信士は、航空会社のパイロット、航空機と地上局の無線通信業務、航空交通管制に関わる業務など、航空運航を支える通信分野において必要とされる資格です。

資格の取得方法は二つあります。
一つは国家試験に合格する方法、もう一つは所定の養成課程を修了する方法です。

本記事では、航空無線通信士の試験制度、試験日程、合格率、難易度、さらに独学での学習方法まで、受験を検討している方が必要とする情報を体系的に整理して解説します。

合格率/難易度|航空無線通信士

平成30年度から令和6年度の期間、航空無線通信士、国家試験の合格率は38.1%から44.2%で想定される難易度は偏差値表示で57です。

航空受験者数合格者数合格率
令和6年度
2024年
2,7801,18642.7%
令和5年度
2023年
3,0121,18939.5%
令和4年度
2022年
2,9491,30944.4%
令和3年度
2021年
3,2701,37141.9%
令和2年度
2020年
3,2551,44044.2%
令和1年度
2019年
3,3271,43243.0%
平成30年度
2018年
3,4171,33739.1%
航空無線通信士の合格率と難易度

国家試験または養成課程の選択

航空無線通信士の資格は、国家試験による取得と養成課程の修了による取得の二つの方法があります。

国家試験は日本無線協会が実施する無線従事者国家試験に合格することで取得できる方法で、受験資格の制限がなく一般受験者や社会人でも受験することができます。

航空分野に進む予定のない受験者や独学で資格取得を目指す場合は、この国家試験による取得が基本的なルートになります。

試験では無線工学、法規、英語、電気通信術などの科目が課され、航空機と航空局の通信に関する無線設備の操作に必要な知識と技能が確認されます。

一方、養成課程による取得は総務大臣の登録を受けた教育機関が実施する講習や訓練を修了することで資格を取得する方法で、航空会社のパイロット養成課程や航空専門学校などで実施されるケースが中心です。

この養成課程は航空業界の教育制度として利用されることが多く、航空会社の訓練生や航空関係の教育機関に在籍する者が対象になる場合が一般的です。

そのため航空無線通信士を個人で取得する場合は国家試験を受験する方法が現実的であり、航空会社の養成制度や航空専門教育機関に所属している場合には養成課程の修了によって資格を取得することも可能になります。

しかし実際の判断として多くの受験者が考えるのは、国家試験と養成課程のどちらを選ぶべきかという点です。仮に国家試験に一回で合格できるのであれば、時間と費用の両面から考えて養成課程より国家試験を選択するのが合理的です。

問題はそれが容易かどうか、すなわち国家試験の難易度がどの程度なのかという点になります。

航空無線通信士国家試験の合格基準は各科目ごとに定められた得点基準によって決定されるため、本試験と同条件で過去問を実行し自己採点を行えば、その得点から自分の合否水準を客観的に判断することが可能です。

国家試験か養成課程かどちらの方法が良いかを漠然と考え続けるよりも、まず初見の過去問または模擬問題を複数年分実行し、その結果を基準に自分の実力を確認したうえで進路を判断する方法が最も現実的です。

試験概要|航空無線通信士 

申込みと
期間
試験月の前々月1日〜20日
試験日年2回実施
8月期(8月中旬)
翌年2月期(2月下旬)
試験地東京/札幌/仙台/長野/金沢
/名古屋/大阪/広島/松山/
熊本/那覇
受験資格制限なし
出題形式
時間

科目構成
内容
多肢選択式(電気通信術以外)
無線工学:14問・1時間30分
法規:20問・1時間30分
英語:会話 7問・30分
   筆記 5問・1時間30分
電気通信術:欧文送受信50字・約2分
合格基準

無線工学:70点満点中49点以上
法規:100点満点中70点以上
英語:105点満点
(英会話 35点、筆記 70点)中
60点以上
足切り点: 英会話の点数が15点
(7問中3問正解相当)に満たない
場合は、合計点に関わらず不合格。
電気通信術:送信・受信ともに
100点満点中80点以上
科目合格科目合格制度あり。
有効期限は試験が行われた月の
翌月の初めから3年間
免除科目
条件
・科目合格制度の合格科目
・電気通信術の科目合格者に対する免除
・認定学校等の卒業者に対する
 試験の一部免除
・一定の無線従事者の資格を有する者
 に対する試験の一部免除
・日本無線協会の養成課程を修了で
 全科目免除(試験合格)
https://www.nichimu.or.jp/
kshiken/shiryou/index.html
受験料9,300円
合格発表日本無線協会が発表
試験実施後 約2週間程度
受験者に 合否確認ページのURLが通知
Web上で 合否を確認する方式
テキスト
過去問
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主催者公益財団法人 日本無線協会
https://www.nichimu.or.jp/

北海道支部 011-271-6060
東北支部 022-265-0575
信越支部 026-234-1377
北陸支部 0762-22-7121
東海支部 052-951-2589
近畿支部 06-6942-0420
中国支部 082-227-5253
四国支部 089-946-4431
九州支部 096-356-7902
沖縄支部 098-840-1816
航空無線通信士の試験概要

英語試験対策|航空無線通信士

航空無線通信士の英語試験は、英会話と筆記の2つで構成されており、評価の中心は「航空通信で使用される英語表現を正確に理解できるか」にあります。

一般的な英語試験のような高度な文法知識や長文読解力を問う内容ではなく、航空業務で使用される実務的な英語を理解できるかが問われる試験であるため、対策の要点は航空分野特有の語句や表現に慣れることです。

筆記試験では航空機の運航や通信に関する内容の英文が出題されるため、航空関連の基本語彙や表現を理解していないと設問の意味自体が把握しづらくなります。

したがって一般英語の学習よりも、航空通信で使われる語句や文章構造に慣れることが得点に直結します。

英会話試験では短い英文の聞き取りと内容理解が中心となり、航空通信で使用される典型的な表現を正確に聞き取れるかが問われます。

この科目には足切り基準があり、一定の正答数に達しない場合は総得点に関係なく不合格となるため、筆記の得点だけで補うという考え方は通用しません。

そのため英会話は「聞き慣れていないために理解できない」という状態を避けることが重要であり、航空英語特有の発音や表現に慣れておくことが対策の中心になります。

航空無線通信士の英語試験は一般英語試験の難易度とは性質が異なり、専門分野の英語理解を評価する試験であるため、航空通信という分野に特化した語句と表現を重点的に押さえることが合格のポイントになります。

結果として英語力そのものよりも「航空通信英語への慣れ」が得点を左右する試験であり、この特徴を理解して対策を行うことが最も重要になります。

過去問反復による独学方法

過去問を中心にした試験対策は最も再現性の高い方法です。短期間での受験勉強を想定する場合でも、過去問の反復によって出題形式と知識の定着を同時に進めることができます。

目安として受験勉強を約2週間とした場合は、テキストを一度通読して全体像を把握したうえで、過去問を中心に学習を進めます。

・テキストは熟読ではなく全体を一度確認する
・毎日1回または2回分の過去問を時間を計って実行する
・実行後は自己採点を行い、解説を読み理解する
・学習初期の得点の低さは気にしない
・誤答の要点を専用ノートに簡潔に整理する
・過去問は一度解くだけで終わらせず周回する
・すべて正解できる状態になるまで繰り返す
・通勤・通学などの短時間は電子書籍などで問題を確認する

この学習を継続し、既に解いた過去問で満点を安定して取れる状態になった段階で、まだ解いたことのない年度の過去問や模擬問題を実行します。

そこで得られた得点を自己採点し、試験の合格基準に到達しているかを確認します。もし合格基準に達していない場合は、同じ方法で過去問の反復を継続します。

過去問を解く回数を重ねるほど誤答の原因が整理され、知識が安定していきます。結果として本試験と同形式の問題で合格基準を継続して超える状態になれば、本試験でも同水準の得点が期待できます。

科目別の勉強ポイント|航空無線通信士

航空無線通信士試験では複数の科目が課されますが、それぞれ出題内容や求められる能力が異なるため、科目ごとに適した勉強方法で対策を進めることが重要です。同じ勉強方法で全科目を学習するよりも、科目の特徴を理解して効率的に学習を進めることで、短期間でも合格基準に到達しやすくなります。

無線工学

無線工学は電波の基礎知識や無線設備の仕組み、通信機器の原理などを扱う科目です。試験では電気回路や電波伝搬に関する基本知識、アンテナや送受信機の構成などが出題されます。

計算問題が含まれる場合もありますが、高度な数学を必要とする問題は少なく、基本公式と原理を理解していれば解ける問題が中心です。

対策としてはまずテキストを一度通読し、無線通信の基本的な仕組みを理解しておくことが重要です。そのうえで過去問題を繰り返し解き、出題傾向を把握します。

無線工学は出題範囲が広い科目ですが、過去問題を確認すると似た内容の問題が繰り返し出題される傾向があります。計算問題についても出題パターンがあるため、解き方を理解しておけば安定して得点できるようになります。

難しい理論を深く追うよりも、試験で出題される範囲の知識を確実に理解することが重要です。

法規

法規は航空無線通信を行ううえで必要な法律や運用規則に関する知識を問う科目です。主に電波法や関連する規則、無線局の運用に関する規定などが出題されます。

この科目は計算問題がほとんどなく、暗記を中心とした学習が基本となります。ただし条文をそのまま覚える必要はなく、試験で問われやすい規定や数値、運用上のルールを理解しておくことが重要です。特に過去問題で繰り返し出題されている条文や数値は重点的に覚えておくと得点につながります。

学習方法としては、過去問題を解きながら誤答した部分を整理し、重要な規定をノートなどにまとめていく方法が効果的です。法規は比較的得点しやすい科目とされているため、安定して高得点を取れるようにしておくと合格に近づきます。

英語

英語試験は英会話と筆記の二つで構成されており、航空通信で使用される英語の理解が問われます。一般的な英語試験のように高度な文法問題や長文読解が中心となるわけではなく、航空分野の通信や運航に関連する内容を理解できるかが評価されます。

筆記試験では航空に関する英文を読み取り、内容理解や語句の意味を問う問題が出題されます。そのため航空関連の語句や表現に慣れておくことが重要です。

英会話試験では音声を聞いて内容を理解する問題が出題され、短い英文の聞き取り能力が求められます。この科目には足切り基準が設定されており、英会話の得点が一定基準に満たない場合は総得点に関係なく不合格となります。

したがって筆記試験だけで得点を補うことはできないため、英会話の聞き取り対策も必ず行う必要があります。航空通信特有の英語表現を理解し、音声に慣れておくことが英語試験対策の重要なポイントになります。

電気通信術(欧文送受信)

電気通信術はモールス信号による欧文送受信の技能を評価する試験です。この科目は知識ではなく実際の技能が評価されるため、机上の学習だけでは対策が難しい科目です。

受信試験では一定の速度で送られるモールス信号を聞き取り、正確に文字として記録する能力が求められます。送信試験では電鍵などを使用してモールス信号を正確に送信できるかが確認されます。

試験では一定の文字数を決められた時間内で正確に送受信する必要があるため、日頃から継続して練習することが重要です。特に受信は慣れるまで時間がかかることが多いため、音声を繰り返し聞きながらモールス信号のパターンを体で覚えていくことが効果的です。

短期間で急激に上達するものではないため、早い段階から練習を始めておくと試験当日に落ち着いて対応できるようになります。

このように航空無線通信士試験では科目ごとに必要な知識や技能が異なるため、それぞれの特徴に合わせた学習方法で対策を進めることが重要です。出題内容を理解し、過去問題の反復と技能練習を組み合わせることで、各科目の得点を安定させることができます。

おすすめ教材・参考書|航空無線通信士 (PR)

航空無線通信士試験の対策では、限られた参考書と過去問題を繰り返し学習する方法が効率的です。特にこの資格試験は出題傾向が比較的安定しているため、過去問題を中心に学習することで合格レベルに到達しやすい特徴があります。ここでは独学で受験する場合に利用しやすい代表的な教材を紹介します。

過去問

航空無線通信士試験対策で最も重要な教材は過去問題集です。試験では過去問題と類似した問題が出題されることが多く、問題形式や出題範囲を理解するうえでも必須の教材となります。特に定番の問題集として、無線従事者国家試験問題解答集 航空無線通信士(令和3年2月期~令和7年8月期)があります。この問題集には近年の国家試験問題が収録されており、無線工学・法規・英語の各科目の出題内容をまとめて確認することができます。過去の試験問題を体系的に収録しているため、試験対策ではこの問題集を繰り返し解くことが最も基本的な学習方法となります。

問題演習型の参考書

過去問題だけでは問題数が不足する場合、演習問題が多く収録された参考書を利用する方法もあります。代表的な教材として、航空無線通信士合格精選310題試験問題集があります。この書籍は試験の出題傾向を分析した問題集で、詳しい解説とともに多くの演習問題が収録されています。英語問題の対策やリスニング学習の補助教材も用意されており、実践的な試験対策として利用することができます。

無線工学の基礎参考書

やさしく学ぶ 航空無線通信士試験(改訂2版) は、航空無線通信士試験の定番テキストの一つで、無線工学・法規・英語など試験範囲をまとめて学習できる参考書です。図やイラストを多く使って解説されており、初学者でも理解しやすい構成になっています。試験に出やすいポイントを中心に説明されているため、独学者にも利用しやすい教材です。

また、より試験対策に特化した参考書として 航空無線通信士試験 集中ゼミ もあります。この書籍は出題ポイントを整理しながら解説されており、章ごとに練習問題が掲載されているため、理解と問題演習を同時に進めることができます。英語試験や電気通信術の対策についても解説が用意されています。

法規の参考書

法規については専門の参考書を使用すると条文の理解がしやすくなります。電波法や無線局運用規則などを解説した書籍として「電波法要説」などがあり、法律の背景や制度の仕組みを理解しながら学習することができます。法規は暗記科目の要素が強いため、問題演習とあわせて重要な数値や規定を整理しながら学習すると効果的です。

電気通信術の練習教材

電気通信術(欧文送受信)はモールス信号の技能試験であるため、書籍だけでなく音声教材や練習用アプリなどを併用することが重要です。モールス信号の聞き取り練習や送信練習を日常的に行い、信号のリズムに慣れておく必要があります。最近ではインターネット上のモールス練習サイトやスマートフォンアプリも多く公開されているため、通勤時間や空き時間を利用して練習を継続することが効果的です。

このように航空無線通信士試験の教材はそれほど多くありませんが、過去問題集を中心に必要な参考書を組み合わせて学習することで、独学でも十分に合格を目指すことが可能です。特に過去問題の反復学習は最も重要な対策であり、解説を理解しながら繰り返し取り組むことが合格への近道となります。

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