危険物取扱者 乙種第4類(乙4)

国家資格

危険物取扱者 乙種第4類(以下、乙4)は、数ある国家資格の中でも、取得目的が比較的明確な資格です。

ガソリン、灯油、軽油といった第4類危険物は、製造業、運送業、建設業、設備管理、さらにはサービス業に至るまで、幅広い現場で日常的に扱われています。

受験者の多くは現場実務に関与しており、乙種第4類の受験は、新規知識の習得というより、既存業務知識を試験仕様に落とし込む作業といえます。

「現場感覚」と「試験仕様」のズレ

乙4試験でつまずく原因の多くは、知識不足そのものではありません。
実際の現場では感覚的に理解している内容が、法令用語・数値・分類基準として問われた瞬間に、曖昧になるケースが非常に多く見られます。

たとえば、

  • 危険物の性質は理解しているが、指定数量が正確に言えない
  • 取り扱い上の注意点は経験で知っているが、法令根拠を説明できない
  • 消火方法は把握しているが、設問の聞き方に対応できない

こうしたズレは、実務経験者ほど起こりやすい特徴でもあります。

乙4は「簡単」なのかという誤解

乙4について調べると、「簡単」「暗記だけ」といった評価を目にすることがあります。
しかしこれは、合格後の実務とのギャップを考慮していない表現です。

試験自体は、出題範囲が限定されており、対策の方向性も比較的読みやすい試験です。
一方で、出題形式は完全に試験用に最適化された知識を要求してきます。

つまり乙4は、

  • 初学者にとっては「範囲は狭いがクセがある試験」
  • 実務経験者にとっては「感覚を数値と用語に変換する試験」

という二面性を持っています。

このページで重視する視点

このページでは、乙4を「資格一覧の一つ」として扱うのではなく、
受験者が実際にどこで判断を誤り、どこで時間を浪費しやすいかという点に焦点を当てています。

  • とりあえず問題集を解くべきか
  • どの分野を深追いしなくていいのか
  • 過去問は何を基準に仕上がりを判断すべきか

こうした点を、抽象論ではなく試験構造ベースで整理していきます。

読む前に知っておいてほしいこと

このページは、
「乙4ってどんな資格?」という完全な入門向け解説ではありません。

すでに

  • 受験を検討している
  • 会社から取得を求められている
  • 問題集を買うか迷っている

こうした段階にいる方向けに、判断材料を短時間で揃えることを目的としています。

次の章では、まず
危険物取扱者 乙種第4類の試験構成を、合格戦略の視点から整理していきます。

    1. 読む前に知っておいてほしいこと
  1. 試験概要|危険物取扱者 乙種第4類
    1. 試験科目と出題数と教材
    2. 試験の申し込み方法
    3. 試験日
    4. 実務者向け補足(判断ポイント)
  2. 合格率と難易度
    1. なぜ「簡単」とも「難しい」とも言われるのか
  3. 独学と通信教育
    1. 乙4は独学で合格できるのか
    2. 独学が成立しやすい受験者像
    3. 独学でつまずきやすいポイント
    4. 通信教育を使う意味はどこにあるか
    5. 通信教育が向いているケース
    6. 独学と通信教育の比較整理
    7. 判断の基準は「合格ラインの見極め」
  4. 出題頻度が高い重要論点(乙種第4類)
    1. ① 危険物に関する法令【最重要】
    2. ② 基礎的な物理学・化学【頻出】
    3. ③ 第4類危険物の性質【最重要】
    4. ④ 消火方法【得点源】
    5. ⑤ 実務者が落としやすい論点
    6. 出題頻度が高い重要論点チェックリスト(乙4)
      1. 危険物に関する法令【最重要】
      2. 基礎的な物理学・化学【頻出】
      3. 第4類危険物の性質【最重要】
      4. 消火方法【得点源】
      5. 仕上がり判断用
  5. 試験当日に見る A4・1枚 要点まとめ(乙4)
    1. ① 合格ラインの確認(最初に見る)
    2. ② 危険物に関する法令【最重要】
    3. ③ 基礎的な物理学・化学【頻出】
    4. ④ 第4類危険物の分類【暗記ゾーン】
    5. ⑤ 水溶性・非水溶性【必ず確認】
    6. ⑥ 消火方法【得点源】
    7. ⑦ 実務者向け注意点(直前確認)
    8. ⑧ 試験直前セルフチェック
  6. テキスト・問題集・過去問・講座 (PR)
  7. 関連資格

試験概要|危険物取扱者 乙種第4類

試験概要です。

項目内容
資格区分国家資格(消防法に基づく)
試験名危険物取扱者 乙種第4類
所管総務省消防庁
試験実施機関一般財団法人 消防試験研究センター
試験方式マークシート方式(五肢択一)
試験時間120分
受験資格制限なし
(年齢・学歴・実務経験不問)
受験地全国各都道府県
受験手数料5,300円
合格基準各科目60%以上かつ総合判定で合格
試験概要 危険物取扱者 乙種第4類(乙4)

試験科目と出題数と教材

科目主な内容
危険物に関する法令
15問
消防法、指定数量、
取扱・貯蔵基準
基礎的な物理学・化学
10問
燃焼、比重、蒸気圧、引火点
危険物の性質
消火方法
10問
第4類危険物の性質、消火適応
合計 35問
教材(PR)
・楽天ブックス
危険物取扱者乙4テキストと過去問

・Amazon
危険物取扱者乙4テキストと過去問
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)出題内容

試験の申し込み方法

項目内容
申込方法インターネット申請
書面申請(郵送)
申込窓口消防試験研究センター
各都道府県支部
インターネット申請マイページ作成後、
試験回を選択して申込
書面申請願書を入手し、
必要事項記入のうえ郵送
支払方法クレジットカード
コンビニ決済/払込票
(方式により異なる)
申込締切試験日の概ね1か月前が目安
(地域差あり)
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)試験日と申込

※インターネット申請は締切直前まで対応可能なケースが多く、主流となっています。

試験日

項目内容
試験回数年複数回(都道府県ごとに異なる)
実施時期春期・夏期・秋期・冬期に分散実施される傾向
試験日原則として土日中心
会場各都道府県内の指定試験会場
日程公表各年度初めに公式サイトで公示
併願他類(乙種・丙種)との同日受験は不可
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)試験日程

実務者向け補足(判断ポイント)

観点内容
勤務調整土日試験が多く、平日休暇は
不要な場合が多い
再受験不合格でも次回試験までの間隔が短い
学習計画申込後に詰め込むより、
申込前に過去問確認が安全
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)受験の補足

合格率と難易度

合格率と難易度です

平成30年度から令和6年度の期間、危険物取扱者、乙4の合格率は31.5%から39.0%であり、想定される難易度は偏差値表示で47です。

年度受験者数合格者数合格率
令和6年度223,84671,02331.7%
令和5年度223,79771,67032.0%
令和4年度223,00970,21131.5%
令和3年度234,48184,56436.1%
令和2年度200,87677,46638.6%
平成31年
~令和元年
221,86785,66938.6%
平成30年度240,10293,66739.0%
危険物取扱者乙4の合格率

一般的な偏差値感覚に当てはめると、

  • 偏差値50:受験者の真ん中が合格
  • 偏差値45:対策をした人が安定して合格
  • 偏差値40以下:準備不足だと不合格

という位置関係になります。

なぜ「簡単」とも「難しい」とも言われるのか

乙4は、学力勝負の試験ではありません。
試験仕様に合わせた整理ができているかどうかが、そのまま合否に直結します。

独学と通信教育

独学と通信教育、どっちかな

乙4は独学で合格できるのか

結論から言えば、乙種第4類は独学で十分に合格可能な試験です。
ただしそれは、「独学=参考書を1冊読む」という意味ではありません。

乙4の合否は、学習量よりも
試験仕様にどれだけ正確に合わせられるか
で決まります。

独学が成立しやすい受験者像

観点該当する場合
実務経験危険物の取扱・管理に日常的に
関与している
学習耐性過去問を反復することに抵抗がない
時間管理学習計画を自分で調整できる
苦手分野数学・理科への強い苦手意識がない

この条件を満たす場合、
市販テキスト+過去問題集だけで十分に合格圏に入ります。

独学でつまずきやすいポイント

一方で、以下に該当する場合は、独学が不安定になりやすくなります。

つまずき要因具体例
法令が苦手数値・指定数量を覚えきれない
出題意図が読めない正しい知識があるのに設問で迷う
学習判断が曖昧仕上がり基準がわからない
時間不足忙しく、学習が断続的になる

特に実務経験者ほど、
「わかっているつもり」で法令分野を落とす傾向があります。

通信教育を使う意味はどこにあるか

通信教育は、
「独学ができない人向け」ではありません。

乙4における通信教育の役割は、
学習内容の理解補助ではなく、学習判断の代行です。

通信教育が向いているケース

状況理由
初学者出題範囲の取捨選択を任せられる
学習時間が不規則スケジュール管理を外部化できる
再受験弱点分野を短期間で修正しやすい
不安が強い合格基準が明確になる
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)受験者が通信教育が向いているケース

「何をやらなくていいか」を明確にしたい人には、通信教育は合理的な選択になります。

独学と通信教育の比較整理

項目独学(PR)通信教育(PR)
費用若干低い
楽天ブックス
Amazon
5,000円~6,000
スタディング
自由度高い低め
学習判断自己責任カリキュラム依存
向いている人実務経験者初学者・再受験者
リスク方向性ミス過剰学習
独学と通信教育の比較整理

判断の基準は「合格ラインの見極め」

乙4対策で最も重要なのは、
今の実力が合格ラインに達しているかどうかを判断できるかです。

  • 過去問で安定して合格点が取れる
  • 初見問題でも60%を下回らない

この判断ができるなら、独学で問題ありません。

逆に、
「どこまでできれば受かるのか分からない」
という状態が続く場合は、通信教育を使う意味があります。

出題頻度が高い重要論点(乙種第4類)

試験問題の大事なところ

① 危険物に関する法令【最重要】

論点出題傾向
指定数量数値そのもの・倍数計算
製造所等の区分製造所/貯蔵所/取扱所の違い
保安距離・保有空地組み合わせ問題が多い
危険物取扱者の職務立会い義務・無資格者の範囲
定期点検・予防規程文言そのままの出題が多い
危険物取扱者 乙種第4類(乙4)危険物に関する法令【最重要】

※法令は「理解」より正確な数値暗記が優先されます。

② 基礎的な物理学・化学【頻出】

論点出題傾向
燃焼の三要素定義問題として定番
比重・密度単位変換・大小比較
蒸気圧温度との関係
引火点・発火点性質分野との横断出題
静電気発生条件と防止策
危険物取扱者 乙種第4類 基礎的な物理学・化学【頻出】

計算は難しくありませんが、言葉の意味を取り違えると失点します。

③ 第4類危険物の性質【最重要】

論点出題傾向
第1〜第4石油類の分類引火点・状態の整理
アルコール類水溶性・比重
動植物油類引火点が高い点が狙われる
水溶性/非水溶性消火方法と連動
危険等級数字そのものより序列
危険物取扱者 乙種第4類 第4類危険物の性質【最重要】

ここは丸暗記+整理が最も効率的です。

④ 消火方法【得点源】

論点出題傾向
適応消火危険物ごとの対応
泡消火水溶性・非水溶性の違い
粉末消火初期消火との関係
注水禁止なぜ危険かを問う
危険物取扱者 乙種第4類 消火方法【得点源】

「なぜその消火方法なのか」を押さえると安定します。

⑤ 実務者が落としやすい論点

論点注意点
法令用語現場用語と一致しない
数値問題感覚で答えてしまう
二択で迷う問題設問の条件読み落とし
複合問題法令+性質の組み合わせ
危険物取扱者 乙種第4類

実務経験があるほど、感覚回答は危険です。

出題頻度が高い重要論点チェックリスト(乙4)

危険物に関する法令【最重要】

□ 指定数量の定義と意味を説明できる
□ 第4類の指定数量(各類別)を即答できる
□ 指定数量の倍数計算ができる
□ 製造所・貯蔵所・取扱所の違いを区別できる
□ 屋内/屋外/地下貯蔵所の特徴を整理できている
□ 保安距離と保有空地の違いを説明できる
□ 危険物取扱者の立会いが必要な場面を判断できる
□ 無資格者ができる作業・できない作業を区別できる
□ 定期点検・予防規程の位置づけを理解している

基礎的な物理学・化学【頻出】

□ 燃焼の三要素を正確に言える
□ 比重と密度の違いを説明できる
□ 比重の大小から液体の挙動を判断できる
□ 蒸気圧と温度の関係を理解している
□ 引火点と発火点の違いを区別できる
□ 静電気が発生しやすい条件を説明できる

第4類危険物の性質【最重要】

□ 第1〜第4石油類の分類を整理できている
□ 各石油類の引火点の目安を把握している
□ アルコール類が水溶性である理由を説明できる
□ 動植物油類の特徴を理解している
□ 水溶性/非水溶性の判別ができる
□ 危険等級(Ⅰ〜Ⅲ)の序列を理解している

消火方法【得点源】

□ 危険物ごとの適応消火方法を判断できる
□ 泡消火が有効な理由を説明できる
□ 水溶性危険物で通常泡が使えない理由を理解している
□ 粉末消火の特徴を説明できる
□ 注水が危険なケースを判断できる

仕上がり判断用

□ 過去問で安定して6割以上取れる
□ 初見問題でも大きく点数が崩れない
□ 苦手分野が明確になっている

試験当日に見る A4・1枚 要点まとめ(乙4)

以下は試験日に見る要点まとめ

① 合格ラインの確認(最初に見る)

  • 問題数:35問
  • 合格基準:各科目60%以上
  • 目標:7割確保(25問前後)
  • 1科目でも60%未満 → 不合格

② 危険物に関する法令【最重要】

指定数量

  • 指定数量=危険性判断の基準量
  • 倍数計算は必ず出る

製造所等

  • 製造所:製造
  • 貯蔵所:貯蔵
  • 取扱所:取扱い

代表的な貯蔵所

  • 屋内貯蔵所
  • 屋外タンク貯蔵所
  • 地下タンク貯蔵所

取扱者の職務

  • 危険物取扱者の立会い義務
  • 無資格者は単独作業不可

③ 基礎的な物理学・化学【頻出】

  • 燃焼の三要素:
     可燃物・酸素・点火源
  • 比重
     水=1
     1未満:浮く/1超:沈む
  • 蒸気圧
     温度↑ → 蒸気圧↑
  • 引火点
     火源で燃え始める最低温度
  • 発火点
     火源なしで燃える温度

④ 第4類危険物の分類【暗記ゾーン】

第1石油類

  • 引火点:21℃未満
  • ガソリン

第2石油類

  • 引火点:21℃以上70℃未満
  • 灯油・軽油

第3石油類

  • 引火点:70℃以上200℃未満

第4石油類

  • 引火点:200℃以上

その他

  • アルコール類:水溶性
  • 動植物油類:引火点高い

⑤ 水溶性・非水溶性【必ず確認】

  • 水溶性
     → 水と混ざる
     → 通常泡は不適
  • 非水溶性
     → 水と混ざらない
     → 泡消火が有効

⑥ 消火方法【得点源】

  • 泡消火
     酸素遮断+冷却
  • 粉末消火
     連鎖反応抑制
  • 注水禁止
     比重小・水と反応する場合

⑦ 実務者向け注意点(直前確認)

  • 感覚で答えない
  • 数値は必ず確認
  • 「〜を除く」「〜の場合」見落とさない
  • 迷ったら法令優先

⑧ 試験直前セルフチェック

□ 指定数量を即答できる
□ 石油類の分類で迷わない
□ 水溶性と消火方法が一致している
□ 過去問で6割は安定している

この A4・1枚まとめ → 重要論点チェックリスト → 過去問
の順で回せば、乙4対策としては十分です。

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